旧友との再会は、新しい関係の始まり

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宴会幹事役 丸請け

忘年会や新年会シーズンを迎え、「幹事さん」は大忙しだ。とりわけ団塊の世代が定年退職を迎え始める2007年を控え、昔の仲間で旧交を温めようという人たちの間で同窓会ブームもさらに盛り上がりそう。そこで、お店選びや出欠確認など、幹事業務の代行サービスが広がっている。店側との交渉も引き受け、通常より割安な料金を提供するケースもある。人の集まりに商気アリ――当世「幹事さん」事情を探った。

都内に勤める徳田啓一さん(24、仮名)は入社3年目。「幹事は若手の仕事」とばかりにおはちが回ってくる。忙しい業務の合間をぬって、上司や接待先の好みにあった店を探すのは難しいが、徳田さんには強い味方がいる。「幹事支援サービス」を提供するアットパーティー(東京・千代田、三浦和道社長)だ。
電話やメールで希望する店の雰囲気や予算などを伝えると、オペレーターが条件にあった店舗を紹介してくれる。代行サービスの利用は無料。同社は都内中心に約1500ある提携飲食店に送客することで、店舗から仲介料を得る仕組み。提携店と特別プランを組んでおり、通常よりむしろ割安となることもある。
提携店は100席以上あるか、貸し切りにできるところがほとんど。オペレーターを介さず、サイト上で利用者が自分で店舗を探せるようにもし、利便性を高めた。地域、予算、人数などを入力すると条件にあった会場を絞り込める。宴会目的の利用がしやすいよう、飲み放題プランやマイクなど音響設備の有無も条件に指定できるようにした。
徳田さんはすでに5~6回、アットパーティーを利用している。宴会代金総額(税抜き)のうち3%が還元されるポイントサービスも魅力だ。「仕事上の用事だけでなく、プライベートの集まりにも利用している。以前ほど幹事が重荷にはならなくなった。この年末も社内の忘年会で利用しようと考えている。

連絡作業が煩雑な同窓会も代行業者を使えば効率的に

人が集まりやすい年末年始は、同窓会の開催も多い。大阪市の同窓会ネット(伊丹正人社長)は案内状の発送や出欠確認、会場の確保などを代行する。同窓会の参加者だけが見られるサイトで、連絡先不明者のリストを開示し個人的につながりがある参加候補者を募る仕組みで、参加率も上げる。
2年に一度、小学校時代の同窓会を開催している愛知県豊田市の女性(60)は、今年初めて同社サービスを利用した。「同窓会は連絡先が変わっていたり、不明になっていることが多く作業が煩雑。効率的にやりたい」と考えた。専用サイトを通じ、事前に参加者を確認出来る点や参加者同士やり取りできる点が周囲に好評だったという。
伊丹社長は「パソコンを使いこなすシニア層が増え、手続きの複雑さに開催を断念していた人たちの需要が盛り上がっている」と話す。団塊の世代の大量退職も控え、今後利用は増える見込み。同社は今年300件弱だった受注件数が、来年は400件へと増える見通しだ。
結婚式の二次会も、幹事支援の活躍の場。東京都西東京市の佐々野茂さん(33)は、12月初旬に会った友人の結婚式の二次会幹事だった。依頼を受けたのは約2ヶ月前。幹事は初めての経験で、「決めることが多いのに打ち合わせの時間が取れず、途方に暮れていた」。
ネットで段取りの仕方を調べていた時に知ったのが、二次会幹事代行のサービスのメイション(名古屋市、近藤浩社長)だ。会場の選定や案内状の発送のほか、二次会当日の司会進行を請け負う。
結婚式の二次会参加者には顔見知り以外も多く、全体としては盛り上がりにくい場合がある。メイション派事務所に所属するタレントや、自社で教育した司会を二次会に派遣。参加者全体が楽しめるように、場を見ながら軽妙なトークで場を盛り上げる。当日、景品の当たるゲームなどで鮮やかに会場を盛り上げる司会を見て、佐々野さんは「依頼してよかった」と旨をなで下ろした。
メイションによると、二次会幹事が当日までに新郎新婦と打ち合わせする回数は7~8回。結婚式二次会の幹事は従来、新郎新婦が親しい友人に頼むケースが多いが、晴れの日の演出を任される幹事の責任は重たい。親しい友人に重荷を背負わせたくないカップルや、仕事で忙しい“頼まれ幹事”からの依頼が多い。
「貸し切り専門をうたうことで、宴会会場を捜す幹事さんの目にとまりやすくなっている」と話すのは、KAORUエンタープライズ(東京・江戸川)の松橋ひとみ社長。今年4月、東京・門前仲町の居酒屋「どっとこむ」を貸し切り専門店にし、同スタイルの店舗として「和風隠れ家 纒(まとい)」を新たに開いた。あえて「幹事が探しやすく」を意識した売込みで、12月の予約はすでに満杯という。
外部に頼んで、しかも幹事の名を上げる。サービスを巧みに利用してイベント幹事をスマートに勤め上げてはいかがか。

増える参入、問われる個人情報管理

インターネットを使った幹事代行サービスは参入障壁が低く、事業者が増えている。特に同窓会は団塊世代向けなどに需要増が見込まれ、西鉄旅行(福岡市)や日本旅行北海道(札幌市)など旅行会社が手掛けるケースも出てきた。
同窓会の幹事代行では、主催者が卒業アルバムなど名簿を作り、それを業者に預けて案内状を郵送してもらうのが一般的な流れ。出欠を集約し、人数確認や店の予約を代行する。住所や電話番号などの変更点を更新したり、合意の上で電子メールアドレスを調べて名簿化するサービスもある。「一度名簿を作ると次回の開催が楽になるため、定期的な開催を促しやすい」(同窓会ネット)という。
個人情報保護法の観点から、事業者は名簿の扱いに関して細心の注意を払う。同窓会ネットは名簿の預かり証を発行し、同窓会サービスのみに用いるという契約を利用者と結ぶ。名簿は金庫に保管し、利用者の希望に応じてデータ入力を終えた時点か、会の終了後すぐに返却する。連絡先に変更があった参加者には、名簿に新たな連絡先を記載していいか確認をとる。
会の一ヶ月後には社内に残るデータも消去する。

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