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お知らせ
懐かしい出合いが、新しい出合いとなって、次の自分の生活につながっていく。
同窓会幹事の代行サービス
リアルな同窓会を開く際に、いちばん問題となるのが幹事ではないだろうか。幹事のなり手がいないため、同窓会が開けないケースも多いだろう。この同窓会幹事を代行してくれる会社がある。株式会社同窓会ネット営業企画部の三木昌幸さんにサービス内容などを聞いた。
「幹事の方は参加を呼びかけるだけで、あとは私どもでお手伝いさせていただくシステムです。コンセプトはなるべく多くの方に参加していただくこと。同窓会ホームページをご提供させて頂き、転居先不明者リストを掲載して情報を募っています。これで、だいだい7~8割、多いときで9割の方の連絡がわかります」
「同窓会ネット」の立ち上げは2年前。やはり、代表取締役の伊丹正人さんが自身の同窓会で幹事を務めた際、思いついたビジネスだ。
立ち上げて半年はシステムの構築などもあり、受注ゼロ。一昨年が22件、昨年が114件、今年は受注ベースで昨年の2倍の売り上げを見込んでいます」
立ち上げ当初は、大変な事もあったそうだ。
「最初の1年は、“本当にそんな会社があるのか?”と、うさんくさい目で見られる事が多かったですね。ハガキサイズの広告媒体、フライヤーに “名簿づくり”と書いてあるので、『名簿が目的じゃないのか』と言われたりしました。1日100軒。フライヤーやパンフレットを持って居酒屋やホテルなどをまわる地道な営業活動が功を奏し、次第に口コミで拡がっていった。「利用していただいたお客様が、“中学校の同窓会をやったから、今度は高校のもやってみよう”と。3~4割がこうした注文の入り方です」
利用者で最も多い世代は、“不惑”の40代、結婚ラッシュの20代後半、そして還暦を迎えた60歳以上。同窓会の後でよく耳にする、いちばん嬉しい言葉は、「同窓会ネットのお陰で、今まで、したくてもできなかった同窓会が開けるようになった。ありがとう」だ。利用者の8割が、卒業後1度も同窓会を開いたことのなかった人たちだという。
「僕らの仕事は、従来はボランティア的にされていたことですから、利益を追求することはできない。そのかわりに何を提供するかと言うと、利用者の心に残る財産。そこに価値がある。それこそが私たち、同窓会ネットの存在価値だと思います。大変な仕事だけど、皆さんにとても喜んでもらえる。画期的な仕事です(笑)」
利用者が語る「同窓会効果」
同窓会ネットの利用者にお話を伺った。広島市立城南中学校22期生の大木貴光さん(27歳)。
「中学校の仲間5人で飲んでいた時、ばったり別の友人2人に合って盛り上がった。それが同窓会のきっかけです。この幸せはみんなに分けなあかんな、と。当日は200人ちょっとの学年で100人以上が集まりました。五次会までやって、深夜3時に50人くらいの団体で商店街を歩いて(笑)。初めは正直、不安だったんですよ。私は“やんちゃ”してた人間でしたから、そんな自分らに幹事ができるのか、と思われてるんじゃないか。5人しか来なかったらどうしよう、と。それがホームページで連絡を取り合ううち、手伝ってくれる人が増えて、最終的に幹事は10人くらいになった。みんなのお陰で大きな会ができて嬉しかったし、みんなに“ありがとう”と感謝される。感動で、ちょっとくらいは泣きました(笑)」
今も同窓会ホームページを残してくれているので、それを使って、みんなで飲みに行ったり、旅行をしたり。サラリーマン、土木関係、起業している人、学生…。みんなとあって話すことは、仕事の取り組み方など、刺激になります。
同窓会のお陰で、いろいろなことを相談できる、貴重な人間関係が増えました。それから同窓会の後、チャレンジする人が増えているんです。元バスケット部の人が、審判の資格を取って小学校のコーチになろうとか。大学検定を受検しようとか。同級生は垣根も上下もない関係。社会で出会う優秀な人には、 “元が違う”と感じてしまうことも多いけれど、同じ中学で、同じ釜の飯を食った仲間には圧倒的な力の差は感じない。いま頑張っている人も、自分と全く違う人間ではなくて、卒業後の努力でこうなっている、と思える。それが刺激になって、俺も頑張らないといかんな、まだまだできるんとちがうかな、と思うんです」
同窓会とは過去から未来へつながる、エアポケットのような存在なのかもしれない。インターネットの登場と、同窓会ビジネスに携わる人々の奮闘で、気軽に開催できるようになった同窓会。あなたも一度開いてみてはいかがだろう。
Text by 宮腰 明美