旧友との再会は、新しい関係の始まり

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産経新聞 朝刊に掲載されました。

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団塊世代に同窓会ブーム

同窓会が、元気な団塊の世代を中心にブームになっている。面倒な幹事業務を代行してくれるサービスが人気を博しているほか、ホテルなどでは同窓会むけの割安宴会プランを続々と打ち出している。勤め先を引退し、これから第二の人生を始めるシニア層。同窓会で懐かしい仲間と盛り上がり、英気を養おうということなのだろうか。(山口暢彦)
●大きな刺激
滋賀県大津市に住む嘱託会社員の明石博さん(六一)は昨年九月、大阪市のホテルで開いた中学校の同窓会の幹事を務めた。会には同期生約六十人が参加。四十年ぶり二回目の開催で、今回は還暦の記念だったという。
「中学校当時、仲の良かった人は、ひと目みて分かった。部活仲間などですぐグループができ、話に花が咲いた」。一番盛り上がったのは健康の話題。お互いの家族や老後の暮らし方にも話は及んだという。
好きだった女の子も来ていた。「当時の気持ちを伝えたらびっくりされた。今年の正月は初めて年賀状をくれましたよ」と照れくさそうに笑う。
シニアになってから開く同窓会の魅力について、明石さんは「老後をどう生きるか考えるのに大きな刺激を受ける」と話す。「みな長い人生を生き、境遇が違っている。それぞれの話を聞くと、『こんな考え方もあるのか』と感心する事が多いですね」

幹事業務を代行、割安プランも登場

●引退を機に
明石さんのように、現役引退を機に同窓会を開くシニアが増えている。そんななか、幹事業務の代行で躍進を続けている会社が、明石さんも利用した「同窓会ネット」(大阪市)だ。
卒業名簿をもとに転居した人の住所まで調べ、会場予約、案内はがきの作成・発送などすべて請け負う。料理代やホテルの会場代込みで一人七千~1万円ほどだ。
設立は平成十四年。十五年の利用は二十二件にすぎなかったが、十六年は百十四に増え、今年は六月二十日までで百四十五件に達した。同社によると、「シニア層が数を押し上げている」という。
大阪・道頓堀にある同窓会専門の飲食店「お集り処 ひさしぶり」は、幹事業務も請け負っているのが受けて、年々利用者が増えている。オープン5年目だが、一年目の利用が百件程度だったのに対し、今では三百件程度に。「お客様はほとんどが六十歳前後で、二十~三十人単位の申し込みが多い」という。
食事、飲み代に幹事業務がついて一人七千円。恩師の料金は無料だ。
●隠居ではない
一方、宴会会場やホテルも、シニア層をメーンターゲットに、一万円前後の割安同窓会プランを展開している。
「椿山荘」(東京都文京区)は今年いっぱい、郷土料理をつけたバイキングプランを発売。「ホテルニューオータニ東京」(同千代田区)も九月三十日まで、郷土料理やハムカツサンドなど学生時代によく口にしたメニューをそろえたプランを用意している。「帝国ホテル東京」(同千代田区)もフランス料理に郷土料理を加えたコースを売り出し中だ。
それにしても、なぜシニアに同窓会が人気なのか。明石さんは「団塊の世代は元気で、人と集まって楽しむ事に抵抗がない」と指摘する。
「定年延長の導入などわれわれに期待する社会の風潮は強い。みな『まだまだがんばる』という思いが強く、十年前、二十年前の六十歳のように、『隠居』という思いはないだろう。これからも積極的に旧友と情報交換を行いたい」と意欲的に語っていた。

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