日本経済新聞5/30朝刊特集面「Sunday Nikkei α」に掲載されました。
お知らせ
同窓会で旧友たちと語り合うのは楽しい。仕事を離れる年代になれば、会社の肩書きなどに惑わされずに住む。自分から仲間に呼びかけ、長続きする集まりにするにはどうすればいいのか。
退職後は いい機会
「趣味は幹事業」。製鉄会社から証券会社を経て退職した永野泰道さん(71)は十一の同窓会や同期会の幹事を務めている。中学や高校、大学の同級生か出向先の同僚まで、集まりはさまざま。
「みんな面白い話題を提供しようと、いろんな知識を仕入れてくるので話が尽きない。同窓会に備えて普段から講演会に出かけている人もいて、知識欲が旺盛になる」と効果を語る。
いまも週に二回は何らかの集まりに顔を出す忙しさ。どう切り盛りしているのか。
同窓会の名幹事になる
「鉄則は分会をつくっておくことです」。学年の集まりなど規模の大きな総会のほかに、共通の趣味をもつなどの共通項がある仲間だけを集めた会をつくる。そのうえで大きさによってどのくらいの頻度で集まるかを決める。五十人以上の総会は年一、二回、十五人ぐらいまでの分会なら二-三ヶ月に一回程度がちょうどいいという。
開くなら昼間、会費は安く、分会をつくる
勤めをやめた世代の集まりで特に気をつけたいのが会費の設定だ。収入が減っているから、会費の出費はばかにならない。
コツは夜ではなく、費用を低く抑えれる昼に集まること。永野さんは昼に二時間程度と決めている。頻繁に開く会なら、会費は「五千円以内、できれば三千円程度が目安」。費用の点だけでなく、昼のほうが出歩きやすい人が多いから、昼の集まりなら出席率も高くなる。
たくさん写真を撮るのも幹事の役目と考える人がいるが、あまり多いと後で焼き増しして配布するのが大変だし、もらうほうも整理に困る。集合写真の一枚で十分。会合の最後に次回の集まりの日程を決めてしまえば、幹事の負担を減らせる。
幹事初心者への助言は「初回に人が集まらなくても気落ちせずに続けること」。定期的に開けばリズムが出てきて集まりもよくなる。生活の一部になってくるという。
代行業活用も一手
とはいえ、幹事業務を何もかも背負い込むと負担が大きい。だれかの犠牲のうえに成り立っている集まりは結局続かないもの。幹事を代行してくれるサービスを利用するのもひとつの方法だ。
同窓会ネット(大阪市)は卒業生名簿にもとづいて一回目の案内状を郵送する。転居先の住所が分からず戻ってきた人については同窓会のホームページを開設し、連絡先を 知らしてくれるよう呼びかける。さらに住所を把握できた人に正式な案内状を送る際に不明者リストを同封。親しい友人などで転居先を知っている人に連絡してもらう。
同窓会ネット代表取締役の伊丹正人さんによると、この方式で七割ぐらいの人の連絡先が判明するという。料金は案内状の発送から食事代などの経費込みで参加者一人に つき六千円から。
同窓会ネットが過去に手がけた例で「幹事さんが発案してクラスごとに出席率を競うゲームをやってみたところ、参加者数が多かった。」(伊丹さん)。参考になりそう だ。
同窓会の幹事に便利なサイト
* 同窓会ネット(幹事代行)
http://www.dousoukainet.com/
* 幹事代行ドットコム(幹事代行)
http://www.kanjidaikoulcom/
* この指とまれ!(ネット同窓会)
http://www.yubitoma.or.jp/
* マピオン(待ち合わせ地図)
http://www.mapion.co.jp/
* its-moGuide(待ち合わせ地図)
http://www.its-mo.com/
このほか、幹事代行ドットコム(滋賀県米原町)も同様のサービスをしている。
インターネット上で交流できるサイトもある。「この指とまれ!」は二百八十万人が登録。パスワードを入力して自分の母校にアクセスすると、掲示板のメッセージをみられる。サイトが運営する私書箱を通じて登録者同士がメールをやりとりすることもできる。
サイトを運営するゆびとま(長崎市)社長の小久保徳子さんは「実際に同窓会を開く前の準備や、定期開催の連絡などに役立ててほしい」と話す。基本サービスの利用は無料。初期費用一万円と月三千円で同窓会のホームページを作ることもできる。近く案内状発送などを行う幹事代行業も始める予定という。
小久保さんは利用者の体験談などから「幹事は各クラスで最低、一人以上置き、責任を分散させたほうがいい」とアドバイスする。
仕事をしている間は、どんな会社に勤めているかとか、どんな役職かといったことが話題になるのがいやで、同窓会に出たがらない人もいる。卒業から何十年もたっていれば、人生いろいろあるもの。必ずしもうまく行った人ばかりではない。
だが「退職すれば社会的地位は無関係」(水野さん)。時間的な余裕もできる。定年退職は旧交を温めるいい機会だ。「自分から話したがらないことには深入りしない。」「仕事をしていたころの自慢話はしない」といった暗黙の了解事項をわきまえて、旧友たちとの再会を楽しもう。
同窓会を長続きさせるコツ
1. 幹事は各クラス一人以上に
責任を分散させ、負担減を
2. 学年ごとの大きな集まりのほか分会をつくる
特に親しい顔ぶれなら頻繁に集まる
3. それぞれに開催の頻度を決める
定期開催を固定すると集まりやすい
4. 集まりは昼に2時間程度で
会費を安く抑えるうえ、出席しやすくなる
5. 写真は集合写真1枚で十分
もらう方の整理にこまるもの
6. 会合の最後に次の日程をきめておく
改めて日程を連絡する手間を省く
7. 初回で集まりが悪くても続ける
定期化すれば出席率は上がる
8. クラスごとに出席率を競う
ゲームで参加者を増やす